二人は甘い初恋関係

「小春川、寒気とかある?」


「うん、少し……。でも、水城君の背中…温かいから大丈夫…。」


「そ、そっか…。」


少し照れくさそうに答える水城君。


足早に歩き始めた。


ほのかに漂う爽やかな香り、シャンプー…かな?


なんだか、水城君に包み込まれているみたいでドキドキする…。


心臓の音が伝わっちゃいそう…。


そう意識するだけでも、ますます鼓動が速くなる一方で…。


落ち着かなくちゃ…と心に言い聞かせているうちに、マンションまで辿り着いてしまった。


「小春川、鍵…どこ?」


「あっ、バッグの中だけど…私が開けるから大丈夫だよ…。」


部屋の前までおぶって来てくれた水城君。


この態勢で鍵を開けるのは大変だと思った私は、水城君に下ろしてもらった後、自分で鍵を開けた。


「今日は、ありがとう…。えっと、気をつけて帰ってね…。」


「………。」


ぎこちなくお礼を言うと、水城君は何も答えないまま私を見つめる。


不思議に思っていた時、水城君の手が私のおでこに触れた。

< 274 / 322 >

この作品をシェア

pagetop