二人は甘い初恋関係
「まあ、小春川にも色々と事情があるんだろうし、苦手なもんは仕方ねぇよ。だけど、今までの学校生活…よく乗り切ってこれたな。」
「中学と、この前までいた高校は女子校だったんです…。」
「あー、なるほど。」
納得した様子の男の子は、私をジッと見つめる。
その視線に耐えきれず、不自然なぐらいの勢いで思いっきり目を逸らした。
「あのさ……」
男の子が何か言おうとした時、チャイムの音が鳴り響く。
「あ、始業式…終わったっぽいな。次は授業だから、さすがに出ないとマズいか…。」
溜め息を零した男の子は、ゆっくりと立ち上がった。
「んじゃ、俺…行くわ。小春川は、もう少し休んどけ。先生には俺が話しておいてやるから。」
「何から何まで、すみません…。」
「何度も謝らなくていいって。こういう時は無理しないで休めよ。」
「は、はい…。」
チラリと男の子を見ると、周りを囲んでいる白いカーテンを開けて、出て行こうとしていた。