二人は甘い初恋関係

「そうなんだ…。美羽、自分で克服したいって思ってたのね…。」


小春川のお母さんは嬉しそうに笑った。


「水城君、これからも美羽のこと…宜しくね。」


「はい…。」


「帰ろうとしてるところを引き止めちゃって、ごめんなさい…。」


「いえ…。小春川……じゃなくて、小春川さんに“お大事に”って伝えて下さい。」


「ありがとう…。美羽の風邪が治ったら、今度は家に遊びに来てね!」


手を振る小春川のお母さんにお辞儀をして、エレベーターへと乗り込んだ。


“家に遊びに来てね”って言われてしまった。


また小春川の家に行ってもいいのか…。


「…………。」


ヤバい、嬉しい…。


自然に顔がニヤけるのを感じた。


いや、待てよ?


今回は緊急事態だったから、迷わず小春川の部屋に入っちまったけど、遊びに行くとなると…意識が変わる…。


つーか、部屋に二人きりとかになったら、俺…理性を普通に保つことが出来るんだろうか…。


頭の中に、その光景を漠然と浮かべてしまった。

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