二人は甘い初恋関係

「出掛けるって、どこに…?」


「駅前…。み、水城君に渡したいものがあって、その材料を買いに行きたいんだ…。ダメ…かな?」


「………。」


昨日まで熱あったし、今日は安静にしていた方がいい…って、言われちゃうかな…。


ソワソワしていると、お母さんはニコリと温かい笑みを浮かべた。


「いいわよ、行ってらっしゃい。その代わり、まだ病み上がりなんだから、買いたいもの買ったら、早めに帰って来るのよ?風邪、ぶり返したら大変だから…。」


「ありがとう、お母さん…。」


「温かい格好で行くのよ?今日、ちょっと寒いから。」


「うん…!」


お母さんが部屋から出て行った後、クローゼットを開けて支度を始める。


厚手の白いタートルネックセーターに、ジーンズ、そして紺色のダッフルコート。


グレーのニットの帽子にグレーの手袋。


防寒対策を万全に整えて、家を出た。


水城君に渡したいもの…。


それは、バレンタインの日に渡せなかった手作りのチョコレート…。


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