二人は甘い初恋関係
「そ、それで……小春川は、今日は駅前に買い物?」
そう聞かれた私は、胸に抱えていた紙袋を咄嗟に後ろ手に持ちかえた。
「う、うん…。ちょっと、お母さんに買い物を頼まれて…。」
「へぇ、そうなんだ…。」
水城君、不思議に思ったかな…。
熱が下がったばかりで、お母さんに買い物を頼まれる…とか、ちょっと無理やりな嘘だったかも…。
紙袋も反射的に後ろに隠しちゃったし…。
とりあえず、突っ込んだ質問をされないうちな何か話さなくちゃ…。
「あの、水城君も駅前に買い物に来たの?」
これと言って話し掛ける話題も浮かばなくて、水城君と同じような質問をしてしまった。
「俺が…っていうか、今日は千景の買い物に付き合わされてるんだ。すぐそこの店なんだけど、色々と迷っていて時間かかりそうだから、本屋でも行って時間潰そうかと思って、店を出て来たんだ。そしたら、小春川らしき女の子が見えたから呼び止めた…。」
「そうだったんだ…。」
すぐ近くで買い物してたんだ、私たち。
それだけでも、ドキドキしちゃう…。