二人は甘い初恋関係

あ……。


舞い上がってる勢いで手を握っちまったけど、小春川…困惑してるよな。


“突然、どうして?”とか思ってるに違いない。


「手、急に握ったりしてごめんな。」


苦笑いしながら手を離そうとした時、小春川は小さな力でキュッと握り返した。


「だ、大丈夫…。」


「えっ…」


「こっ、このままでいいよ…。」


このまま…って、手を離さなくてもいいってことだよな…?


思いも寄らぬ小春川の返答に驚いた俺は、心の中で再確認してしまった。


こんなにドキドキして、浮かれるぐらいの嬉しさで満たされた朝が、今まであっただろうか…。


恥ずかしそうに俯きがちに歩く小春川の横顔を見ながら、笑みが零れた。


やっぱり違う。


全然違う。


小春川が傍に居るだけで、周りの景色はガラリと変わる。


こんなに綺麗だったのか…と思うほど眩しく輝く。


“好き”って感情がもたらす影響は、凄まじいものがあるな…。


< 306 / 322 >

この作品をシェア

pagetop