二人は甘い初恋関係

突然、大きな声を出したせいか…水城君がビクッと驚いて、こちらに振り向く。


「小春川…?」


「あのっ、職員室に行く前に…聞いて欲しいことがあるの…。少し時間をもらっても…いいですか…?」


「あ、うん…。」


少し水城君が戸惑いながら、私の方に近付いてくる。


ドクンドクン、と激しく波打つ鼓動。


ついに来たんだ、告白する時が。


「小春川、聞いて欲しいことって…?」


「えっと…」


緊張で、足も手も唇も震える。


心臓が飛び出してきそう。


水城君も、そうだったのかな…?


告白してくれたあの時、押し潰されそうな緊張感の中で、想いを言葉にしてくれたのかな…。


一生懸命、伝えてくれた気持ち。


私は…“ごめんなさい”の一言で終わらせて、その場から逃げてしまった。


水城君には釣り合わない、水城君と付き合っても上手くいく自信がない。


結局、自分のことばかり考えてた…。


でも、気付いた。


釣り合わなくても、上手くいく自信がなくて不安に感じても、水城君を好きな気持ちに揺るぎは無いこと。


好きなものは好きなんだってこと。


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