二人は甘い初恋関係
そ、そうだ…チョコレート…!
私は顔を上げて、水城君に視線を向けた。
「水城君、えっと…渡したいものがあるんだ…。」
「渡したいもの…?」
不思議そうに瞬きをしながら、抱きしめていた腕を解く水城君。
私は、急いでバッグの中からラッピングしたチョコレートの箱を取り出す。
そして、水城君の前に差し出した。
「これ、遅くなっちゃったけど…バレンタインのチョコ…。バレンタインの時、本当は…水城君に渡すつもりで持って来てたんだけど、渡せなかったから…。でも、どうしても渡したくて…もう一度作ったの…。」
今さら…って思うよね、きっと…。
俯いた、その時。
「えっ、小春川の作ってくれたチョコ…!?ヤバい、めちゃくちゃ嬉しい…。」
水城君は声を弾ませながら、私のチョコを受け取ってくれた。
「家に帰って、大切に食べるよ。ありがとう、小春川…。」
私に向けてくれたのは、とびきりの笑顔。
喜んでもらえて、良かった…。
嬉しさで込み上げてきた涙が、少し視界を滲ませた。