二人は甘い初恋関係
「お前、それは…贅沢な悩みってもんでしょ。」
ある日の部活終了後。
バスケ部の部室で、友達の千景(チカゲ)に、女子に対する不満を愚痴ったら、即行でそう言い返された。
「俺にとっては不満でしかない。」
「あんなに、女子からモテてる男の言葉とは思えねぇな…。俺ら男子からすれば、羨まし過ぎるポジションだぞ?」
だけど、俺には苦痛だ。
羨ましい…とか思える思考が理解出来ない。
「なんかさ、女子を遠ざける方法とかねぇかな……。」
溜め息混じりに呟く。
最初は軽くあしらっていた千景だったけど、よほど俺が深刻そうな顔をしていたからか、次第に“うーん…”と唸りながら、一緒に対策を考えてくれていた。
お互い、会話の無い状態が暫く続いていた時。
「なあ、律矢。」
「ん?」
何か閃いた様子の千景。
期待に胸を膨らませて、耳を傾けた。
「俺…思いついたんだけどさ、いっそのこと…女子と仲良くしちゃえばいいんじゃね?」