二人は甘い初恋関係
「律矢、今の状況を本気でどうにかしたいと思ってんなら、色んな可能性に身を投じることも大切だろ?」
「…………。」
それは、そうかもしれないが…。
「まあ、今のは俺の案だからさ。律矢が他に女子を遠ざける方法を思いついたなら、それを試せばいいじゃん。」
そう言うと、千景はバッグを肩に掛けて立ち上がる。
「でもさ、女子だって…全員が鬱陶しいヤツばかりじゃないと思うけどな。少し女子との距離を詰めて関わってみろよ。そうすれば、会えるかもしれないぜ?」
「誰に?」
「運命の女の子に。」
フッと笑った千景は“じゃあな”と言って、先に部室を出て行った。
運命とか、あるわけねぇだろ。
女子は、ウザいヤツばかりなんだから。
千景の提案は…ナシだ。
何か他にいい方法があるはず…。
そう思って、その後も悩み続けた俺だったけど、何も思い浮かばないまま月日だけが過ぎていき…
結局、中学2年の春…。
俺は、意を決して…千景の提案を実行することにしたんだ…。