二人は甘い初恋関係
「……ねぇ、律矢君ってば!」
ハッと我に返ると、腕を絡めたまま不思議そうに俺を見ている女が視界に映った。
「どうしたの?急にボーッとしちゃって…」
「いや、何でもない。ちょっと考え事してただけ。」
「ふーん…。それはそうと、放課後のカラオケに行く約束、絶対に忘れないでねっ!」
「ああ、分かってるから大丈夫だよ。」
また愛想笑いを浮かべる。
心の中では、鬱陶しさや面倒くささを抱きながら。
こんな日々を卒業まで続けるんだろうか…。
そろそろ限界が近いような気もするけど、かといって、無愛想な自分に戻すのは…抵抗がある。
過去に、女子の感情を煽っただけに…なおさら。
もう、いっそのこと…誰かに恋すれば、女子自体を鬱陶しく感じたりしないんじゃないか…?
……って、俺が女子を好きになるとか…有り得ねぇ…。
思わず苦笑いしてしまった。