二人は甘い初恋関係
その後も、女と適当な付き合いを続ける日々が淡々と過ぎていき……
冬休み、最後の日のことだった。
「ねぇ、もう一回っ!」
古典の補習で学校に来た俺は、帰ろうとした矢先に、3組の女に声を掛けられてソイツの教室へ。
暫く適当な会話をした後、キスして欲しいというから仕方なくしたというのに、もう一度しろ…と促された。
正直、こんな何も感情の入ってないキスが欲しいだなんて、ウザい女…。
心の中で愚痴を零しながらも、表面上は笑顔で頷く。
冷たい気持ちでキスを交わしていた時だった。
“バサッ”
突然、何かの落ちた音が響き、即座に唇を離す。
音がした方を見ると、焦った表情で廊下に散らばったものを見ている、一人の小柄な女の姿が目に映った。
「そこで何してんの?」
まあ、聞くまでもなく…覗き見してたんだろうけど。
俺の言葉に、女はビクッと肩を震わせてこちらに視線を向けた。
「あ、えっと…」
声は震えていて、顔もみるみるうちに青ざめていく女。
そんな風になるんだったら、最初から覗き見なんかすんなよ…。