二人は甘い初恋関係
少し後退りしていた女がバランスを崩して、尻もちをつく。
ドスッと鈍い音が響いた。
今の、かなり痛そうな感じだったよな。
まさか、思いっきり尻もちつくなんて思わなかっただけにビックリしてしまった。
痛みに顔を歪めてる女。
その姿を馬鹿にするかのように笑う3組の女に冷めた視線を向けた。
覗き見してたからといって、転んだことを…そんな風に笑うか?
心の中で呆れながら、俺は尻もちをついたまま俯く女の前に立った。
「……大丈夫か?」
声を掛けてしゃがむと、女が顔を上げる。
その瞬間…目が合った。
クリッとした二重の目。
小さな鼻に、艶やかな唇。
肩よりも少し長い、サラサラな栗色の髪。
正直、容姿は“可愛い”と思う。
中身は、どんな女なのかは知らないが。