二人は甘い初恋関係
「あっ、えっと………大丈夫です。」


俺から素早く距離をとった女は、視線を逸らして小声で呟く。


いやいや、どう見ても大丈夫じゃねぇだろ…。


本当に大丈夫なのか、もう一度…声を掛けたけど、女は“気にしないで下さい”と言って、散らばってるものを慌ただしくバッグへと戻していく。


その手は少し震えていて…。


手伝おうかどうしようか考えている間に、さっさとバッグに全て入れ終えた女。


俺に頭を下げると、逃げるように去っていった。


変な女だったな…。


今まで、影でコソコソと覗き見してる女子は何人も見てきたけど、俺に見つかっても悪びれることなく、嬉しそうにはしゃぐヤツばかりだったのに…。


ビクビクして怯えたような反応する女は…初めてだ。


よく分からないヤツ…。


一体、どこの学校の生徒なんだろうか…。


不思議に思っていた俺だけど、その疑問は翌日にアッサリと解決されることになる。


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