二人は甘い初恋関係
「あ、そろそろ始業式が始まるから君も体育館に行った方がいいわよ?」
「はい…。」
俺が頷くと、保健医は白衣を脱いで、何やら…慌ただしく身支度を整え始める。
「私、これから急用で出掛けることになっちゃったから、先に行くわね。悪いけど、担任の垣内先生に小春川さんの症状…伝えておいてもらってもいい?」
「わ、分かりました…。」
そう答えると、保健医は足早に保健室を出て行った。
あと少し保健室に運んで来るのが遅かったら、保健医…不在だったのか。
とりあえず、診てもらったから良かったな。
チラリとベッドで眠っている小春川に視線を移した。
ん、待てよ…?
保健医が不在ということは、これで俺が出て行ったら小春川しか居なくなっちまうじゃん…。
その時に目が覚めたりしたら、小春川…置かれてる状況が飲み込めなくてパニックになるかもしれない。
状況を説明してやる人間が居る方がいいよな。
そう思った俺は、ベッド脇に丸イスを持って来て座った。