二人は甘い初恋関係
教材とバッグの間で視線を行き来させていると、先生が“あ!”と何かを思いついたような声を発した。
「これ、一気に持ち帰るのも大変だと思うし、少し教室に置いて行ったらどうかな?明日、始業式の後…二時間ぐらい授業もあることだし。その分の教科のテキストを置いておくとか…。」
「はい、そうします…!」
それなら、少し荷物も軽くなる…。
少しと言わず、半分ぐらい置いていっちゃおうかな…。
先生の提案に乗ることにした私は、バッグに詰められるだけ教材を入れ、入らない分は両手に抱えた。
「教室の場所、分かる?」
「は、はい…。試験で来た時に校内を案内してもらったので、何となく…。」
でも、ちょっと記憶が曖昧…。
視線を泳がせていると、先生は私が両手で抱えていた教材を持ち上げた。
「なんだか不安そうな顔してるから、私も教室まで一緒に行くわね…!迷っちゃうといけないし…。」
「あ、ありがとうございます…。」
優しいな…。
微笑む先生に、私は頭を下げた。