二人は甘い初恋関係
「全く、律矢のヤツ…けしからんっ!」
眞田さんの声が中庭に響き渡った時だった。
「誰が“けしからん”だって?」
あれ?
この声…。
慌てて周りをキョロキョロ見回すと、渡り廊下の方から中庭の私たちのところに歩いて来る水城君の姿が目に映る。
まさか、本人が登場するとは思っていなかったから、すごくビックリしてしまった。
「佳織、お前…小春川と、どういう話をしてたわけ?」
あっという間に私たちのベンチの前まで来た水城君は、眞田さんをジロリと睨んだ。
「律矢のことについて、色々と。」
「色々って何だよ。」
「秘密。それより、律矢…小春川さんと友達になったって、どういうこと?」
「そのまんまの意味だけど。」
「あのさ、いい加減な気持ちで友達になったんだったら、小春川さんが可哀想だよ。」
キッパリと告げる眞田さんに水城君は眉をしかめる。
そして、溜め息を一つ零した。