二人は甘い初恋関係
「小春川さん、また笑ってる…!私、楽しそうな笑顔をしてる小春川さんって初めて見た…。」
そっか…。
言われてみれば、私…転校してきてから、あまり笑ってなかったな。
慣れない環境に戸惑うことの方が多くて、表情も硬くなってたんだ…。
「ねっ、律矢も…そうでしょ?」
眞田さんに質問を振られた水城君。
チラリと私を見た後、髪をクシャッとさせながら、違う方向に水城君は視線を向けた。
「あ、ああ…。小春川、そんな風に笑うんだな…。」
少し戸惑ったように呟く声。
眞田さんは、そんな水城君を見てキョトンとしている。
な、なんか…
私の笑い方、水城君には変な感じに映ったのかな…。
それとも、私が女の子の格好をする水城君の姿を勝手に想像して笑っちゃったから、気に障ったのかな…。
何も言わずに、手に持っていたビニール袋から、購買で購入したと思われるパンを取り出す水城君。
黙々と食べ始める姿を見ながら、気まずさが一気に押し寄せた。