二人は甘い初恋関係
「いつもの律矢なら、女子に声掛けられて暫く教室で喋っているか、一緒にカラオケやお茶に付き合うか、あるいは…さっさと家に帰るかのどれかなのに、珍しい…。」
「うるせぇな。別にお前に関係ないだろ。」
溜め息混じりに呟きながら、バッグを肩に掛けて立ち上がる。
チラッと小春川の席を見ると、小春川は既にいなくなっていた。
「佳織、小春川…もう帰ったのか?」
「帰った…っていうか、図書室に行ったよ。」
「図書室…?」
なんでまた、そんなところに…。
「うん。図書室で少し勉強してから帰る…って言ってたな、小春川さん。」
「ふーん…。」
今日は課題とか特に出されてるわけじゃねぇし、何か授業で分からないところでもあったんだろうか…?
疑問に思っていると、佳織が俺の顔を覗き込んだ。
「小春川さんのこと、気になる?」