二人は甘い初恋関係
「いや、別に…。」
全く気にならないかと言われれば嘘になるが、コイツにいちいち言うと鬱陶しいだろうからな…。
「んじゃ、俺…帰るわ。」
教室の出入り口へ歩いて行こうとすると、佳織は俺の腕を掴んだ。
「あっ、待って!律矢に話があるから、ちょっと付き合って。」
「は?話って何?」
「いいから、ついてきて!」
そう言って、グイグイと俺の腕を引っ張って歩いていく佳織。
辿り着いたのは、屋上だった。
「ったく、こんなところまで連れてきやがって。なんの話なんだよ。」
イライラしながら文句をぶつけると、佳織はペコリと頭を下げた。
「律矢、ごめん…。」
「いきなり、何だよ。」
「お昼休みのこと、謝ろうと思って…。」
佳織は、俺を見ると気まずそうに視線を泳がせる。
「私、言ったでしょ?“いい加減な気持ちで友達になったんだったら、小春川さんが可哀想”ってさ。あれ、取り消す。」