二人は甘い初恋関係
「小春川、男と関わるのが苦手みたいだから、それを克服するための協力…っていう名目での友達だけどな。」


「でもさ、律矢が女子に協力するなんて、これまで無かったことじゃない。」


「まあ……」


協力理由は、小春川を疑ったことへの罪滅ぼし。


不純な動機なんだよな。


曖昧な言葉を返す俺に、佳織はニヤリと不敵な笑みを浮かべた。



「もしかして、律矢…小春川さんのこと、特別に感じてるんじゃない?」


「は!?」


思わず、目を見開く。


屋上に、俺の驚きを含んだ声が広がった。


「なんで、そうなるんだよ。協力するために友達になった、それだけだっての。特別とか、そういうわけじゃ……」


「それなら、お昼休みの時…小春川さんの笑ってるところを見て照れていたのは、どう説明するつもり?」


「なっ…」


コイツ、あの時…俺が照れてたこと、どうして分かったんだよ。


鋭すぎるにも程があるだろ。


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