二人は甘い初恋関係
佳織のヤツ、初恋を応援するとか…勝手なこと言ってんじゃねぇよ…。
俺は、ずっと…女が苦手だったんだぞ?
出来ることなら一切関わりたくない…と思ってるぐらいだ。
そんな俺が女を好きになるなんて、有り得ねぇことだろ…。
「…………多分。」
声にならないような声で呟いた。
でも、小春川と接していると…他の女たちとは違って穏やかでいられるし、嫌悪感とか感じないのは事実だ。
小春川の笑顔だって“可愛い”と思ったぐらいだし。
こういうことは俺にとって、前例のない感情…なんだよな。
「……………。」
それが、イコール…恋になるのかどうか、よく分からねぇ…。
クシャクシャと頭を掻きながら、足早に歩く。
暫くして、ふと足を止めた俺は、目に映ったものを見て瞬きを繰り返した。
あれ、昇降口に向かっていたはずなのに…なんで?
そこは、図書室の扉の前だった。
無意識のうちに意識し始めてる、か…。
佳織の言葉が体中を駆け巡るような、そんな感覚がした。