ロシアンルーレットⅣ【クライムサスペンス】
一瞬だけだったけど、お互いの唇が間違いなく合わさった。咄嗟に俺、女を両手で思い切り突き飛ばした。
バリバリ、と大きな音が頭の中に響き、頭皮に刺すような激痛が走る。
鈍い音を鳴らして、個室の扉に背中を打ちつけた妄想女。見ればその左手には、さっきまで俺の一部だったはずの黒髪が、束になって握られていた。
イカレてる。この女絶対、脳みそクラッシュしてる。
ダン――
もの凄い爆音と共に、建物全体がデッカイ何かに殴られたように揺れた。その衝撃に身体がグラつき倒れそうになるも、片足を一歩横へ踏み出して何とか耐える。
妄想女は……と見回せば目の前から消えている。ふと、足元に視線を落とせば、トイレの床に転がっていた。
きったね。
手を差し伸べる気にもなれず、そのまま放置してその場を立ち去ろうと駆け出せば、
「逃げるの? 卑怯者! 卑猥者!」
すかさず罵言を撒き散らして引き留めようとする。
今はそれどころじゃねぇだろ? つうか、『ひわいもの』って何?
バリバリ、と大きな音が頭の中に響き、頭皮に刺すような激痛が走る。
鈍い音を鳴らして、個室の扉に背中を打ちつけた妄想女。見ればその左手には、さっきまで俺の一部だったはずの黒髪が、束になって握られていた。
イカレてる。この女絶対、脳みそクラッシュしてる。
ダン――
もの凄い爆音と共に、建物全体がデッカイ何かに殴られたように揺れた。その衝撃に身体がグラつき倒れそうになるも、片足を一歩横へ踏み出して何とか耐える。
妄想女は……と見回せば目の前から消えている。ふと、足元に視線を落とせば、トイレの床に転がっていた。
きったね。
手を差し伸べる気にもなれず、そのまま放置してその場を立ち去ろうと駆け出せば、
「逃げるの? 卑怯者! 卑猥者!」
すかさず罵言を撒き散らして引き留めようとする。
今はそれどころじゃねぇだろ? つうか、『ひわいもの』って何?