ロシアンルーレットⅣ【クライムサスペンス】
「で、谷口さんがどうしてあそこに?」

あそことはもちろん、列車爆破の現場だ。


「テロの疑いもあるだろ、だから一応、俺らが駆り出されたわけだ。けど状況聞いた限りでは、テロじゃねぇだろうな」

「なんでそう言い切れるんだよ」

「なんで上目線なんだよ? 皆人のくせに」

谷口さんはチッと舌を鳴らす。『くせに』はやめろっていつも言ってんのに。


そして谷口さんは、渋々といった感じで続けた。

「乗客が全員降りたの見計らって爆破してるし、犯行予告はあったが要求はなし。今の段階じゃ、目的がさっぱりわからん。愉快犯ってとこじゃねぇか?」

「そう簡単に決めつけるのは危険じゃね?」

「お前、どの口がそれ言うんだよ? つかもう、後は捜査課の仕事だ。俺らの出る幕はナッシング」

「なーにがナッシングだよ」

一応つっこんではみたけど、当然のようにスルーされた。



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