ロシアンルーレットⅣ【クライムサスペンス】
「さてと。言い訳でもする?」

俺を見上げて軽口をたたく女。その表情は挑発的だが、どこか艶っぽい。


「言い訳?」

「そう、言い訳。聞くだけなら聞いてあげる。でも所詮言い訳だから、そんなの聞いたところで、絶対にあんたを豚箱にブチ込んでやるけどね」

こいつ、話し合う気なんかさらさらないし。一気に片をつけてバイバイした方が良さそう。


「話し合いなら、出るとこ出てやろうじゃねーの。俺の方は、名誉棄損でお前を訴えてやる」

一歩踏み出して距離を詰め、俺の胸の高さにある女の顔面を、ビシッと指差してやった。


「開き直るの? このチンカスヤロウ!」

だから、チンカスはやめろって。女の口からそんなお下劣な言葉、聞きたくねぇよ。たとえ妄想全開キチガイ女だとしても、女に変わりないからね。


「いいわ、もう。訴えたけりゃ訴えろよ。なんなら身分証見せようか?」

「何? その上から目線?」

「見るの? 見ねぇの? どっち?」

「えっ……ええ、見るわよ、もちろん!」

何故ここで、ちょっぴり狼狽えるんだ。全く意味がわからん。


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