ロシアンルーレットⅣ【クライムサスペンス】
「今現在、彼の行方はわからないそうですね? 円満退職じゃなかった?」
確認するように問えば、彼女は意を決したように口を開く。
「ええ。真相はわからないんですが……噂では辻岡先生が患者を死なせてしまったって。私が話したって言わないでくださいね? でも刑事さんに隠し事するのも罪になるんでしょ?」
「もちろん、守秘義務は守りますから安心してください。『患者を死なせた』ってどういうことですか? 医療ミス?」
「詳しくはわかりません。消化器内科に入院中の患者さんが亡くなったんですけど……。病棟の職員に訊いたら何かわかるかも」
俺たちは彼女に礼を告げ、軽く頭を下げながら会議室を後にした。
「辻岡は外科医なのに、しかも心臓外科だろ? なんで消化器内科の患者だよ?」
どうにも腑に落ちなくて無意識に漏らせば、
「それを今から確かめに行くんだろ? けどその前に」
那智は涼しい顔で返して、にっと不敵な微笑を浮かべた。
確認するように問えば、彼女は意を決したように口を開く。
「ええ。真相はわからないんですが……噂では辻岡先生が患者を死なせてしまったって。私が話したって言わないでくださいね? でも刑事さんに隠し事するのも罪になるんでしょ?」
「もちろん、守秘義務は守りますから安心してください。『患者を死なせた』ってどういうことですか? 医療ミス?」
「詳しくはわかりません。消化器内科に入院中の患者さんが亡くなったんですけど……。病棟の職員に訊いたら何かわかるかも」
俺たちは彼女に礼を告げ、軽く頭を下げながら会議室を後にした。
「辻岡は外科医なのに、しかも心臓外科だろ? なんで消化器内科の患者だよ?」
どうにも腑に落ちなくて無意識に漏らせば、
「それを今から確かめに行くんだろ? けどその前に」
那智は涼しい顔で返して、にっと不敵な微笑を浮かべた。