受け継がれしもの~過去から未来へ~
序章~泡沫夢幻~
源流╼╾・・
水の流れの始まり・・・
そして・・・流れる水のごとく時も止まることなく廻りつづける。。。
運命・・・すべてはここから・・・
廻(めぐ)る時刻(とき)・・・
今、指針(はり)が動きだす。
今は遥か昔、場所は龍王が守りし地・・・都から遠く離れた大地の空虚な場所にその小さな村はあった。
地図に載ることさえなかったそんな小さな村。
しかし、そこにはとても大きな伝承が残っていた──・・・
☆★☆★☆★
『周龍~!』
俺は自分の名前を呼ばれ、振り向くと、勢いよく走ってくる一人の女の子が見えた。
ドンッ・・・!!
次の瞬間、その子が俺に飛びついてきた。
『うわぁ・・っ』
俺はこけてしまった。
『こら~っ!!危ないだろう!?』
『ごめ~ん!』
と両手を合わせて上目遣いで俺を見てくる。こんな風にされると弱い・・・(まぁ・・・いっか・・)
彼女の名前は朱華(しゅか)。
この国の王、孫惇(そんとん)様の愛娘・・・この国の正当な跡継ぎだ。
そして、俺の名前は周龍(しゅうりゅう)。
都の外れのこの辺鄙な村で生まれ育った
ただの一般市民・・・なのにこの一国の跡継ぎであるはずのお姫様はわざわざ宮殿を抜け出し俺に会いにきてくれているのだ。
でもそんな俺たちの関係を誰も知らない・・・そして知られてはいけない・・・
☆★☆★☆★
俺たち二人の出会いは半年ほど前のこと。
月に一度開かれる大市
俺は村で採れた野菜をいつものように売りにきたが、大して売れず、帰る途中だった。
俺はその野菜を見つめ、ため息を吐いて呟いた。
『美味しいのに・・・』
『そんなに美味しいのなら、私がすべて買いますっ!!』
思わぬ言葉に俺は驚いて振り向くと、そこにいたのは俺と一人の少女だった。
また俺はため息を吐いた。
『同じような年頃の子が野菜を買い占めるだけのお金を持ってるはずがない』そう思った。
でも、この時の俺はまだ知らなかった・・・少女が一国の主の娘であることを。
『お前、俺のことバカにしてる?村の人間だからってからかってるんだろう?』
彼女はとても不思議そうな顔をした。
『バカになどしてませし、からかってもいません!私はその野菜がほしいのです!』
とても強い口調で彼女は言い放った。
この時俺は思った・・・この人はとても強いんだと。
今まで俺たち村の人間は都の連中から差別され続けてきた・・・売りにきた野菜を大抵のやつは『お前たちが作った物なんて食えるか!!』と、バカにした。いつもは一部の親切な人がお情けで買ってくれる程度。
でも彼女は違った・・・お情けでもなく、バカにするわけでもなく純粋に野菜を買うと言ってくれてるのだ。
『ふっ・・・はははははっ・・・そんないきり立って言うようなことかよ・・・はっははははは・・・』
気づいたら俺は大声で笑っていた。声を出して笑ったのはいつぶりだろう?
ガキのころ以来かな。
『ちょっと!私何か変なこと言いましたか?』
『へっ?あっ、いや・・・嬉しかっただけだよ。』
『??』
この後、俺たちはお互いのことをいろいろ話した。
そして、彼女の家の話を聞いたときに俺が都中に響き渡るほどの叫び声を上げたのは言うまでもない。
だって普通びっくりするだろ!?国の主になる人間が平然と城下町を歩いてるなんて・・・ありえないだろう。
しばらくすると、宮殿の方が騒がしくなってきた・・・嫌な予感がしたので彼女に聞いてみると。
『はい。黙って出てきましたっ☆』
やっぱり・・・。
俺はあわててすぐ戻るように言った。
『もう少し大丈夫ですよ~』
『だめだ!!君はこの国の大事なお姫様なんだ!早く帰れ!!』
思わず怒鳴ってしまった。彼女は泣きそうな顔をしている・・・
『あっ、えっと・・・その・・ごめん、でも・・やっぱり・・・・君は・・『ごめんなさい!!そうですよね・・・今お話しなくても、今度会ったときにいっぱい・・わがまま言ってホントにごめんなさい・・・それじゃ私帰ります!』
彼女は少し淋しそうに一度だけ振り返り軽くお辞儀をして帰っていった。
一人になって考えていた・・・また会いたい──・・でも、そんなことはもうないだろう・・・
彼女はお姫様・・・でも俺は・・ただの一般市民。
釣合うわけがない・・・まだ都の人間ならよかったかもしれない。。。
水の流れの始まり・・・
そして・・・流れる水のごとく時も止まることなく廻りつづける。。。
運命・・・すべてはここから・・・
廻(めぐ)る時刻(とき)・・・
今、指針(はり)が動きだす。
今は遥か昔、場所は龍王が守りし地・・・都から遠く離れた大地の空虚な場所にその小さな村はあった。
地図に載ることさえなかったそんな小さな村。
しかし、そこにはとても大きな伝承が残っていた──・・・
☆★☆★☆★
『周龍~!』
俺は自分の名前を呼ばれ、振り向くと、勢いよく走ってくる一人の女の子が見えた。
ドンッ・・・!!
次の瞬間、その子が俺に飛びついてきた。
『うわぁ・・っ』
俺はこけてしまった。
『こら~っ!!危ないだろう!?』
『ごめ~ん!』
と両手を合わせて上目遣いで俺を見てくる。こんな風にされると弱い・・・(まぁ・・・いっか・・)
彼女の名前は朱華(しゅか)。
この国の王、孫惇(そんとん)様の愛娘・・・この国の正当な跡継ぎだ。
そして、俺の名前は周龍(しゅうりゅう)。
都の外れのこの辺鄙な村で生まれ育った
ただの一般市民・・・なのにこの一国の跡継ぎであるはずのお姫様はわざわざ宮殿を抜け出し俺に会いにきてくれているのだ。
でもそんな俺たちの関係を誰も知らない・・・そして知られてはいけない・・・
☆★☆★☆★
俺たち二人の出会いは半年ほど前のこと。
月に一度開かれる大市
俺は村で採れた野菜をいつものように売りにきたが、大して売れず、帰る途中だった。
俺はその野菜を見つめ、ため息を吐いて呟いた。
『美味しいのに・・・』
『そんなに美味しいのなら、私がすべて買いますっ!!』
思わぬ言葉に俺は驚いて振り向くと、そこにいたのは俺と一人の少女だった。
また俺はため息を吐いた。
『同じような年頃の子が野菜を買い占めるだけのお金を持ってるはずがない』そう思った。
でも、この時の俺はまだ知らなかった・・・少女が一国の主の娘であることを。
『お前、俺のことバカにしてる?村の人間だからってからかってるんだろう?』
彼女はとても不思議そうな顔をした。
『バカになどしてませし、からかってもいません!私はその野菜がほしいのです!』
とても強い口調で彼女は言い放った。
この時俺は思った・・・この人はとても強いんだと。
今まで俺たち村の人間は都の連中から差別され続けてきた・・・売りにきた野菜を大抵のやつは『お前たちが作った物なんて食えるか!!』と、バカにした。いつもは一部の親切な人がお情けで買ってくれる程度。
でも彼女は違った・・・お情けでもなく、バカにするわけでもなく純粋に野菜を買うと言ってくれてるのだ。
『ふっ・・・はははははっ・・・そんないきり立って言うようなことかよ・・・はっははははは・・・』
気づいたら俺は大声で笑っていた。声を出して笑ったのはいつぶりだろう?
ガキのころ以来かな。
『ちょっと!私何か変なこと言いましたか?』
『へっ?あっ、いや・・・嬉しかっただけだよ。』
『??』
この後、俺たちはお互いのことをいろいろ話した。
そして、彼女の家の話を聞いたときに俺が都中に響き渡るほどの叫び声を上げたのは言うまでもない。
だって普通びっくりするだろ!?国の主になる人間が平然と城下町を歩いてるなんて・・・ありえないだろう。
しばらくすると、宮殿の方が騒がしくなってきた・・・嫌な予感がしたので彼女に聞いてみると。
『はい。黙って出てきましたっ☆』
やっぱり・・・。
俺はあわててすぐ戻るように言った。
『もう少し大丈夫ですよ~』
『だめだ!!君はこの国の大事なお姫様なんだ!早く帰れ!!』
思わず怒鳴ってしまった。彼女は泣きそうな顔をしている・・・
『あっ、えっと・・・その・・ごめん、でも・・やっぱり・・・・君は・・『ごめんなさい!!そうですよね・・・今お話しなくても、今度会ったときにいっぱい・・わがまま言ってホントにごめんなさい・・・それじゃ私帰ります!』
彼女は少し淋しそうに一度だけ振り返り軽くお辞儀をして帰っていった。
一人になって考えていた・・・また会いたい──・・でも、そんなことはもうないだろう・・・
彼女はお姫様・・・でも俺は・・ただの一般市民。
釣合うわけがない・・・まだ都の人間ならよかったかもしれない。。。
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