鬼部長の優しい手
「朝から凉穂の…七瀬の様子が
おかしかったですし、
部長はなにか考え込みながら、
“違うんだ、七瀬”とか呟いてたし。」
俺…
声に出してたのか!?
うわ、もう恥ずかしすぎる…
勤務中に何やってんだ俺は。
「…悪い、笠野。
その書類も、すぐ終わらせる。」
「ああ、それ早急じゃなくて
大丈夫なんで、
お願いします」
「ああ、わかった」
笠野に短い返事をし、
書類の山を見る。
これは残業決定だな、
定時までには帰れそうにない。