鬼部長の優しい手
パコッ
「痛っ」
私がまたため息をつきそうになったとき、私の頭に小さな衝撃がはしる。
…黛実がファイルで私の頭を叩いたからだ。
「まーた、そんな暗い顔して…。
…よし!凉穂、今日この後時間ある?」
「え?…あるけど…」
「なら、久しぶりに二人だけで
飲みに行こう?
…その時、愚痴でも悩みでも
なんでも聞いてあげるからさ。」
黛実はそう言って、
小さく微笑んだ後、
“だから、今は仕事に集中!”と言って、
またパソコンに向かった。
「黛実~!
ありがとう!黛実大好き!」
「はいはい、わかったから、さっさと
仕事再開しなさいよ」
そう言って、呆れる黛実が
女神のように見えた。
黛実と二人だけなんて久しぶりだなー
今から楽しみになってきた!
私はさっきまでの暗い雰囲気とは
一転、鼻歌を歌いながら
小さく微笑むと、黛実と同じように
パソコンに向かった。