鬼部長の優しい手
「…もう、本当、
黛実ちゃん嫌い」
「はいはい。私も大嫌いですよー」
真っ赤な顔で、
嫌い嫌いと言い合いながら、
泣き出す私達。
それでも、幸せなことに変わりはなくて、自然と頬が緩んでしまう。
もう、泣いているか笑っているか、
自分でもよくわからない。
…なんでかな。
お互い好きって言い合っただけなのに、
それだけで、抱えきれないほどの
幸せを感じて胸がいっぱいで、
泣けてくるのは。
これから先もこうやって二人でいれば、
きっといつか、結婚って話題が話に
上がってくるんだろうけど、
今はこれくらいがちょうどいい。
第一印象と現状維持~笠野 黛実の場合~
Fin