鬼部長の優しい手
ありえないくらいに大音量で
脈打つ心臓の音が周りに聞こえないようにと、胸を押さえながら
私は部長の言葉を待つ。
なんて、答える?部長。
断られたら、それはそれで
なんかショックだけど、
誘いを受けたら受けたで、
…また、心拍数が上がる。
…早く答えて!部長!
「…いや、やっぱり
遠慮する。
お前たちだけで楽しんでこい」
聞き取りやすい、部長の低音ボイスが
なぜかこのとき、その言葉だけ
いつもよりワントーン低く、聞き取りずらい感じがした。