鬼部長の優しい手
緊張と思い浮かぶ人
「…はぁ…」
「まーた溜め息。
今日何回目よ?」
7月4日
初夏の風が吹き始め、会社でも
クールビズが取り入れられ始めた頃
私はパソコンに向かいながら、
今日何度目かわからない溜め息をついた。
…やっぱり、あの日から部長とは
なんとなく顔を会わせずらくなって、
まぁ、私が招いた結果なんだけどね!
…自分から、あの日逃げるように帰ったくせに、やっぱりなんだか
部長と話せないのは寂しくて、
朝からずっと、溜め息が出てくる。
「はぁ…」
「まったく…
何があったかは知らないけど
私情を仕事にまで持ち込むんじゃないわよ」
「…ごめん」
…本当、最悪だな私
溜め息ばっかりついて、
仕事に身が入らなくなって
黛実に説教されたって、
仕方ない…
「それに、今日くらいは無理にでも
笑顔作りなさいよ。」
「う、うん…」