鬼部長の優しい手
「じゃあ、失礼しますね。
お二人とも末長くお幸せに」
「は、はい!ありがとうございました!」
私は幸せそうに笑う夫婦に
別れを告げ式場から立ち去った。
さて、会社に戻ろう。
今日はいつも通りの書類整理。
がんばりますか!
私はそう意気込んで、
止めたタクシーに乗り込んだ。
「只今、戻りました」
「ああ、おかえり七瀬」
会社に戻り帰りを告げた直後、
私の大好きな声がした。
「部長!
ただいまです!」
私は嬉しくなって自然と頬が緩む。
部長の声、久しぶりかも。
…やっぱり好きだなぁ…部長の低い声
低音なのに聞き取りやすい落ち着いた声
私の大好きな声。
「その笑顔を見る限り、
今日の式うまくいったようだな。」
「まぁ、はい。なんとか」
本当は色々失敗とかしちゃったけど…