鬼部長の優しい手
「うーん、言われてみればそうかも?
いつも通りの仏頂面っぽいけど、
なーんか元気無さそうかな?」
黛実に聞いてみると
どっちともとれるような
曖昧な言葉が返ってきた。
うーん、やっぱり私の思い違い?
でも、心なしか顔色も悪く見える。
辛そうだし、息も上がってるみたい…
…もしかして、
「あ、あの…部長?」
香澄先輩の話を聞いた直後で、
少し気まずい気もするけど、
私は意を決して、部長に近づき、
小さな声で囁いた。
「もしかして、ですけど
部長、熱ありません?」
「あ、ああ…そう言えば
なんか体がだるい感じが…」
「ちょ、ちょっと失礼しますね」
苦しそうに息をする部長に断りをいれてから、私は熱をはかるため
右手で自分の額に触れ、
左手で部長の額に触れた。
「あつい…」
これは確実に熱がある…
39度くらいはありそう…!
って冷静に判断してる場合じゃない!!
「部長、やっぱり熱があるじゃないですか!なんで休まなかったんですか!?」
「今日中に終わらせたいのがあって…」