鬼部長の優しい手
震える手で、写真立てを握る私の
背後から、聞き慣れた低い声が聞こえた。
「ぶ…ちょう?」
「…なに、見てるんだ。」
少し震えた部長の声。
振り向く私に、じりじりと詰め寄ってくる部長。
「なにを見てるんだって言ってるんだ。
答えろ」
「…っ」
久しぶりに見た“鬼の塚本”
普段は優しい部長の視線が、
今はとても怖い…
睨むような視線から、逃げられない。
「…あの、すみません…!
勝手に動き回って。
わ、私帰りますから…!
お大事に…っ」
「待て!」
慌てて、逃げるように帰ろうとする私を
“鬼の塚本”は許さない。
掴まれた手首が痛い…っ
部長の目線が怖い…
やだ、なにしてんの私。
なんで、見ちゃったのよ私のバカ!
「…その写真を置いて、
帰れ。今すぐに。」
泣きそうになっている私に
部長の追撃。
聞いたことのない部長の冷たい声。