鬼部長の優しい手





それでもでてくる言葉は、
七瀬に対する謝罪の言葉で



違う、違うんだ七瀬。
泣かせたかったわけじゃない。
傷つけたかったわけじゃない。




…ただ、七瀬のそばで
これからも、上司として…


上司として…なんなんだ?




ああ、ダメだ。
あいつのこと考えてると
疑問がつきない。



「とりあえず、
山本が置いてった書類に
目を通しておくか。」



七瀬のことを考えていると、
俺のデスクの前に立っていた山本は
さっさと居なくなっていた。



今は、いつも通り、真剣な顔つきで
パソコン画面に向かっている。






…普段はふざけた性格してるくせに、
本当、仕事はうらやましいほど
よくできる。




…あいつなら、
女心とか言うやつも
よく、わかるんだろう。











32になったおっさんの俺には、
女心を理解できる能力なんて、
皆無だ。





< 99 / 188 >

この作品をシェア

pagetop