恋愛なんて、めんどくさい。
急に少し真面目なカオをしたから何を言うのかと思ったら
「ありがとね、」
お礼か。
「お礼言われるようなことはしてないけど」
あんなヤツら敵に回したって大した事なさそうだし。
「ううん。…正直こんなのもう慣れてるんだけど、助けを求めた時に本当に助けてくれたのは柊さんが初めて。
あと、助けを求めといてこんなにヒヤヒヤしたのも初めて。」
そう言って、今度はケラケラ笑いだす萩原さん。
その表情は、教室で見る表情とは何か違うっぽかった。
「これから気をつけてね。」
そろそろ寝たいから、そう言って終わろうと思ったら
「ちょっと待って!」
呼び止められた。
「…私さぁ、猫、被ってんだよね~。」
ふーっと息を吐いて、意を決したように喋り出す萩原さん。
「見た目と性格が合ってないって散々言われて。だから学校では優しくて、可愛くて、ちょっと天然な“完璧美少女優美ちゃん”を演じてるんだけど、素はこんなんなんだよね~。
…幻滅した?」