恋愛なんて、めんどくさい。
動悸
ー夢を見ていた。
昔から見る悪夢。
《あんたのせいだ》
《あんたさえいなければ》
《あんたなんか産まれてこなきゃよかった》
《死んでしまえ》
《死ね》
わかってる。夢だってことは。
だってアイツがいる。
嫌だ。こんなのもう嫌だ。
あたしはもうひとりになれたのに。
まだ解放してくれないの?
起きなきゃ。でも体が金縛りにあったように動かない。
何を言い返しても通じない。
歯向かったりなんかしたら、ホントめんどくさいことになる。
ーそっか。
この夢の中ではあたしはいつも小学生になってるんだ。
違う、これは夢じゃない。
記憶。
昔の記憶だ。
《あんたなんて―
また始まった。
同じセリフばっか、もう聞き飽きた。
だからあたしは
アイツの声を遮るように。
「ごめんなさい。」
そう言うんだ。