恋愛なんて、めんどくさい。
夢の中で“も”。
まだ2、3歳だったのに覚えてるんだね…、あん時の事。
「姉ちゃんが悪いんだよ?」
そう言うと、ふるふると首を振って
「お姉ちゃんはなんにも悪くないよ!だからそんなに謝らないで…。」
半泣きで抱きついてきた祥太。
この子もこの子なりに色々肌で感じ取って、こんな環境の中で気を使ってきたのかな…
と思うと、居たたまれない気持ちになる。
「わかったから泣かないの。
男の子でしょ?」
あやすように、背中をポンポンと撫でる。
「だってぇ…。」
「ほら、友達と約束とかあるんじゃないの?」
「そうだった!」
祥太をだっこして立たせて
「暗くなる前には帰るんだよ?いってらっしゃい」
トン、と軽く背中を押す。
「うん!いってきます!」
笑顔で走り出す祥太。
この子だけでもいい子に育ってくれて良かった。
…まぁ、気弱すぎて心配になる事もあるけど。
進学する高校もだいたい決まって、住む所もいくつか目星をつけて、
ここを出る準備は出来てきたけど
唯一の心残りは祥太。
この子を置いていくのが辛い。