恋愛なんて、めんどくさい。
「わりぃ、苦しかった?」
唇を離して心配そうにあたしの顔を覗き込む深宮。
…心の声、聞かれてた?
声に出したつもり無かったんだけどな…。
とりあえずフォローしなきゃ。
「そんなんじゃなくて…」
確かに息も苦しかったけど、そうじゃなくて
「心臓が、苦しいの。」
そう心臓が…って、はぁ?
「深宮は余裕なのに、あたしばっか緊張してて。
深宮は慣れてんのに、あたしばっかドキドキしてて。」
―違う。
こんなこと言おうとしたんじゃ無い。
でも―
「よくわかんないけど、苦しいんだよ…」
一度勝手に動いた口は、言う事を聞いてくれなかった。
「…なんてね。嘘。ホントはただ息が苦しかっただけ。今のナシっつーことで。」
あ~あ。
ムード?ぶち壊しちゃった。
「何言ってんの?柊…」
あの深宮をも呆れさせるとか逆にすごいでしょ。
「俺、全然余裕なんかじゃねぇんだけど。」
…ん?
「むしろ、とてつもなく緊張してんだけど。」
…ん??
「好きなヤツと一緒に居てドキドキしねぇ男なんて存在しねぇの。んな事もわかんねぇとか、柊ってバカなの?」
…ん???