恋愛なんて、めんどくさい。

「知ってんじゃん♪」

後ろ姿しか見えないけど、今絶対あの意地の悪~い笑み、浮かべてるよね…。


やられっぱなしは性に合わないけど、

「も~、うっさい!黙ってチャリこげバカ!」


対抗する術が見つからない。


「あいあい、わかりやした~。バカ~は、チャリを~こぐ~♪」

ヘイヘイホ~、って古!


…地味に上手いのが余計ムカつくし。


「もー、そこコンビニだから、降ろして!」

「店まで行っちゃダメ?」


店の前まで行って深宮が店長に見つかったら。

―や~ん、イケメン寧々ちゃんの彼氏~?ほら、上がって上がって~♪―


…確実にめんどくさい事になる。


「絶対ダメ。」

考えただけでも悪寒がする…。

「しゃーねぇな、ほら。」

コンビニの駐車場に止まった自転車から降りる。


「…送ってくれた事には、感謝する。」

お陰で遅刻を免れました。


「そりゃどーも♪」


「じゃ、気をつけて帰って…

手を振りかけたその時―


ぎゅ。

「わっ…」



抱き締められて…る?


「な、何してんの…?」

人、見てるんですけど…


「元気、分けてんの。」


耳に直接入ってくる声がくすぐったい。
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