恋愛なんて、めんどくさい。
「せっかくキレイな髪なんだから、可愛くしてないともったいないわよ~…、あら?」
突然手を止めた店長。
「どうしたんですか、変な声出して。」
「変な声とは失礼ね~、私はいつでも美声よ!…じゃなくて、ほら!」
大きめの鏡を持ってきてあたしの前のテーブルに置いた店長。
とりあえず鏡を覗き込んでみると
「なにこれ…?」
鎖骨に赤い跡。
「首筋にもあるわよ?」
鎖骨、首筋、跡…。
必死に脳をフル回転させる。
思い当たるのは…
アレしかない。
絶対朝のアレだ。
犯人は深宮だ。
「これって…「ちょっとぶつけちゃったみたいです!絆創膏下さい!」
出来るだけの笑顔を作る。
まさか、店長にあんなこと言えないし。
「そうよ、そうだわ!」
「…聞いてます?」
「寧々ちゃんがいつにも増してキレイな理由よ!そうだったのね!」
「だから、聞いてます?」
「やだ、もう!寧々ちゃんったらみずくさい!早く言いなさいよ~♪」
「…何を?」
「どんな人なの?」
「…誰が?」
「彼氏よ~、彼氏!写真とか無いの?今度連れてきなさいよね~♪」