恋愛なんて、めんどくさい。

窓の方を向くと


「優美?」


顔色が青を通り越して白くなってる。


今にも倒れそう―


「え、ちょっと!」

って走り出した?!


何で?


そこは、照れるか喜ぶか飛び付くかのどれかでしょ?



…まさか。

藤谷の「好きだよ。」だけ聞いて、藤谷があたしに告ったって勘違いしたとか?


いや、ありえないでしょ。




優美に限ってそんな馬鹿な事…

するかも。


あの子の思考回路は常識を超越してるから…




「…藤谷!」

固まってる藤谷に藤谷のカバンを投げつける。

「?!」


顔面狙ったんだけど…。やっぱ反射神経いいな。見事にキャッチされた。


「ボサッとしてないで追いかける!」

何をどうとらえたのかは意味不明だけど、説明はするに越したこと無いんじゃない?



「お、おう…」


「ついでにそれも拾って。」


そう言ってあたしが顎で指したのは、廊下に置き去りにされた優美のカバン。


何故パシられに行くのにわざわざカバンを持ってったのかは謎だけど。


「行ってこい。」

「ハイ!」


運動部の先輩にでもするような清々しい返事を残して、優美のあとを追っていった藤谷。


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