恋愛なんて、めんどくさい。
「…お礼、待ってたんだけど?」
お礼…?
「あれ本気だったの?!」
「当たり前ー。ま、いつまで待ってもしてくんないから勝手に貰っといた♪」
「いつまで待ってもって、全然待ってないじゃん!」
…どんだけ待たれたってしないけど。
「あ。それと、オシオキも兼ねて」
「お仕置きなんかされる筋合い無い。」
「俺以外の男と放課後の教室でイチャついてたでしょ。」
そう言って、壁にドンッ!と手をついてギリギリまで顔を近づけてくる深宮。
…近すぎるんですけど。
「相手は藤谷だし。イチャついても無いし。」
押し返そうったって歯が立たないのは経験済みだから、とりあえず睨んでみる。と
「ふーん。じゃ、痕消した理由についてはどんな説明するのかな?」
にっこり、と形容するのがぴったりな笑みを浮かべて、逆に迫ってくる。
優美に『人をも殺せる』って太鼓判押された睨みが効かないなんて…
つーか理由って何?
恥ずかしいから…?でも無いような
そーゆうのって隠すもんなんじゃないの?
考えこんでる間の沈黙をどう理解したのか
「…もしかして、嫌だった?」
あたしの肩に顔を埋めて、悲しそうな声で呟いた深宮。