恋愛なんて、めんどくさい。

そういえば『日曜、10時、駅』とは言われてたけど、どこ行くかまでは聞いてなかったし。



「…あ~、それが…。」

すると、途端にさっきまでの笑顔を消して、気まずそうなカオをした慧。


「?」

今度はあたしがきょとんとする番。


「ごめん!」


「え?」


「12時頃に荷物届くから家に居ろって、さっき言われて…。」

マジごめん、とあたしの前で手を合わせて拝んでる慧。


「デート、中止?」


「いやっ、だからその…、荷物受けとるまでいいから!ちょっと俺ん家来てくんね…?」


これぞ『おそるおそる』!みたいな感じで、超おそるおそりながらこっちを見つめてる。


「わかった。」


「え?」


「いいよ。」

実際、どこでも行くつもりだったし。

慧と一緒ならどこでも良かったし…、とは言わないけど。


軽く微笑んでみせると、ほっとしたカオをして、


「よし!んじゃ行くか!」

あたしの手を引いて改札まで連れて行く。



切り替え早!って

「切符!」

買ってない、と訴えると

「ん。」

とポケットから2枚出して、そのうちの1枚を当然のように手渡してくる慧。



用意周到か!
ってことはあたしがOKするってわかってたんじゃん…。


ちょっと癪にさわるけど、まぁ切符貰ったからスルーしとこ。


…初デートならぬ、初家デート…。

別に喜んでたりはしないけど!

…と、テンション上がってたあたしは気付いてなかった。


このあと地獄が待ってるなんて。


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