恋愛なんて、めんどくさい。
家デート
***
約十分後、慧の家の最寄りの駅で降りてホームのベンチに座っているあたしは、まさに地獄に居た。
「大丈夫か~?」
「ゔぇ……」
そうだよ…。改札通るってことは電車乗るってことじゃん…。
んで電車乗るってことは、酔うってことじゃん…。
「生きてる?」
「ゔ…、ダメ…。」
多分2、3駅しか乗ってないはずなのに…、気持ち悪い…。
「……。」
突然黙りこんだ慧。
呆れられたのかな…、と思って隣に座ってる慧を見ると、何故か手で口を押さえてそっぽ向いてる。
よく見ると、肩が小刻みに揺れてる。
これは…
「…笑ってる?」
「そんなっ、こと、ねぇよ?」
そっぽを向いたまま答える慧。
いや、途切れ途切れに笑い混じってますけど。
「何がおかしいの?」
人がこんなにツラそーにしてるときに何笑ってんのよ。
「…―――――くれるんだなーと思って。」
「え?何?聞こえない」
「寧々が、かわいーってこと!」
やっと笑いが治まったのか、こっちに向き直って、にっ、と微笑む。
「…意味不明。」
かわいいっつっとけばいいと思いやがって…。