恋愛なんて、めんどくさい。
んな簡単にほだされてなんかやんないんだから…。
「あれ?照れてる?」
「…違う。」
とは言っても、ドキッとしないかしちゃうかなんて今までの経験上立証済みなわけで。
ホント悔しい。
慧の前では上手く自分が作れない。
ペースを乱されてばっかだ。
「照れてんじゃん♪」
「……もう行く。」
さっさとここを離れようと、ベンチから立ち上がる。
「え、まだ酔って「平気!」
とは言って歩き出したものの、やっぱりまだ酔ってたみたいで
「っと」
何も無いところでつまづきかけた。
「…それのどこが平気なんだよ。」
振り帰ると、ベンチに置き忘れてたあたしのカバンを持って、あたしの後ろに慧が立ってた。
「今のは、たまたま…」
カバンを取り返そうと手を伸ばしたら
「じゃあその状態でどこ行くつもり?」
カバンを持っているのとは逆の手で、あたしの手首を掴んで顔を近付けてくる。
「それは…」
そもそも慧の家がどこかなんて知らないし。
「それは?」
「…わかんない。」
「だと思った。…こっから5分くらいだけど、歩ける?」
「…ん。」
「んじゃ行くぞ。」