恋愛なんて、めんどくさい。
***
「お邪魔しました。」
「じゃあね~、寧々ちゃん♪またいつでもおいで~♪」
「はい♪また来ます♪」
ただいま、家の玄関。
笑顔で手を振る姉貴に、笑顔で深々とお辞儀をする寧々。
さっさとこの場から去りたい俺は、強引に寧々の腕を引っ張って外に出し、ドアをバーンと閉める。
「クソガキじゃないんだから、建物に八つ当たりしないの。」
醒めた目、醒めた口調でそう言う寧々はもう普段通りに戻っていた。
スタスタと歩き出した寧々の後を追っかけながら質問する。
「…俺と姉貴の扱いにだいぶ差があるようなんだけど?」
ツンツンしてる寧々と、小悪魔…いや悪魔みたいな寧々と、違和感すら覚えるほどに天使みたいな寧々とが、俺の中でどーやっても繋がらない。
「あ~、アレ?初対面の大人と対峙するときは基本的にあーなるだけ。多重人格的な事じゃないから別に気にしないで?」
軽く伸びをしながらさらっと言う寧々を見てると、またわからなくなる。
…まぁ、でも、掴みどころが無いのは今に始まった事じゃないしな。