恋愛なんて、めんどくさい。
寧々がわざわざ嘘をついてまで話を終わらせたがってる相手…
わかんねぇ。
とりあえず盗み見てみると
黒い細身のスーツを着た、20代前半くらいの見知らぬ男が立っていた。
こんな暑いのにネクタイをキッチリ閉めて、ジャケットまで羽織っている。
…クールビズって言葉知らねぇのかな…。
という俺のどうでもいい独り言は置いといて。
遠目で見てもわかるくらい険悪なムードに少々たじろいたけど、険悪っつーことは寧々はやっぱ嫌がってるんだ、と強引ながらも結論を出し、二人の元へ向かう。
「寧々。」
近くまで行って声をかけると
「…慧。」
怖いくらいの無表情で呟いた寧々。
「ソイツ、誰?」
初対面の相手になんつー態度だってのは百も承知ですが
…寧々にこんな顔させてるヤツに礼儀正しくなんか出来ねぇ。