恋愛なんて、めんどくさい。


「……。」

「……。」


「…あの、突然来てすいませんでした。ありがとうございました、帰ります。」

イスから立ち上がってお辞儀をする。


風邪ひいてまで行ってたバイトをウソついて長期間休むとか、寧々らしくないどころじゃねぇ。


何かあったんだ、絶対。


気が進まないとかいってないで寧々の兄貴っていうあの人に連絡…してみ「―――待って。」


心の声まで止められた!?

驚いて振り返ると

「少し、お話しましょ?」


と言った店長さん。

いや今までも充分喋ってたでしょ(主に一人で)、というツッコミは置いといて。


やっぱこの顔、見覚えある…?

「…似てますね。」

「え?」

「バイト、行くときのメイクしてる寧々と。」


そっか。通りで見覚えあったワケだ。

この人を20歳くらい若返らせたら、あのメイクした寧々と同じ顔になるだろう。


「やっぱり?正確には寧々ちゃんが私に似せてるんだけどね。初めて見た時はホントびっくりしたわよーっとゴメンなさいね。話し出すと止まらなくなっちゃうのよ。こう見えてオバサンだから♪」


「はぁ…。」


「もう、そんな引かないでー!ねぇ、どうして寧々ちゃんがうちで働くことになったか知ってる?」

「いえ…。」


「じゃあその時の話にしましょ。ほら座って?確かあれは…1年半くらい前だったかしら…。」



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